この症状は妊娠している奥さんのことを色々と心配し、悩んでしまう状態を言います。
つまり、妊娠している奥さん本人ではなく、側にいるご主人の方の症状ということになるのです。
こういう意味で、育児ノイローゼやエイズノイローゼなどとは性質の異なる症状になります。
人一倍、心配性な神経質性格の人の場合、身内など、自分と関わりの深い相手が困難な状況に置かれると、自分のことのように心配し不安になってしまうものなのです。
特に奥さんの妊娠といった、自分との関わりの強いことに対しては、余計に不安になりやすいものなのだと思います。
そして、妊娠ノイローゼの状態になると、奥さんのちょっとした体調の変化にも敏感に反応してしまうようになるものなのです。
妊娠している奥さん自身よりも、むしろ妊娠ノイローゼに陥っているご主人の方が心配や不安を強く感じているものなのです。
自分の妻が妊娠すれば、誰でも、ある程度は心配したり不安になったりするものですが、これが度を越した状態が妊娠ノイローゼだと言って良いと思います。
ですから、妊娠ノイローゼかどうかのチェックポイントは、ご主人に神経質性格の傾向が見られるかどうかということになると思います。
ノイローゼ状態は神経質性格の人間以外には起こり得ませんので、この点がチェックポイントになると思います。
なお、妊娠ノイローゼも、その根本原因は心配症や強迫性障害などと同様に神経症(不安障害)から来ていますから、森田療法の考え方を身につけていく中で、予期不安に対する「とらわれ」が薄れてくることで、少しずつ根本的に改善してくるものなのです。
ですから、抗不安薬などの薬を飲んだりして対応するよりも、ある程度の時間は必要になりますが、森田療法の考え方を身につけるようにしていった方が根本的な解決につながり、良いと思います。