受験のストレスから抑うつ状態に陥ってしまう状態を受験ノイローゼと言いますが、この症状も相変わらず多く見られるものだと思います。
去年だったか、歯科医師の一家で、何年も浪人している大学受験の息子が実のお姉さんを殺してしまったという事件がありましたが、こういう事件を起こしてしまう位、受験時はストレスがかかっているものなのだと思います。
ただ、受験ノイローゼを言われる症状になる人の場合は、もともとが神経質性格の持ち主ですから、この歯科医師一家の事件のようなことは、けっして起こさないものなのです。
つまり、抑うつ状態にはなりますが、このために、殺人や自殺といった反社会的な行動は取らないものなのです。
ですから、この点が受験ノイローゼかどうかを見極めるチェックポイントになると思います。
つまり、本人は非常にストレスを感じ、辛い思いをしているものなのですが、外から見ると、この辛さは、それほど感じられないものなのです。
客観的に見ても辛そうにしているということであれば、これは受験ノイローゼではなく、うつ病や、その他の精神的な障害が出ていると考えて良いと思います。
しかし、残念なことにノイローゼという言葉はうつ病など純粋な病気の場合にも使われてしまうことが多いために、誤解している人達も多いように思います。
ノイローゼというのは元もと神経症のことを指す言葉であり、神経症というのは、うつ病などの精神的な病気とは全く異なるものなのです。
ですから、むしろ本人自身の方が病識があり、辛さを感じているものなのです。
なお、受験ノイローゼの場合も育児ノイローゼなどと同様に、その根本原因は抑うつ神経症などと同様に神経症(不安障害)から来ていますから、森田療法の考え方を身につけていく中で、受験に対する不安や緊張の「とらわれ」が薄れてくることで、少しずつ根本的に改善してくるものなのです。
ですから、抗うつ剤などの薬を飲んだりして対応するよりも、ある程度の時間は必要になりますが、森田療法の考え方を身につけるようにしていった方が根本的な解決につながり良いのだと思います。